petit amour

まゆかのこと。

スケート

「知ってます?いま駅前にスケートリンクが出来てるんですよ」

「んー?駅前ってビルしかないじゃん」

「そうなんです、あそこです」

「へー。また妙なところに……。でも、スケート懐かしいなぁ、ひさびさにやってみたいなぁ」

「すべれるんですか?」

「まあ、人並みに」

「そうですか……」

「……」

「……」

「……」

「えっ、そんだけ?」

「えっ?」

「いや、滑りに行きましょうよー、とか言い出すのかと思って」

「いえ、ただなんとなくニュースで見たから……」

「ああ、そう……」

「はい……」

「……もしかして、滑れないの?」

「はうぅっ……」

「ああ、そうなんだ」

「うう……」

「まあぼくの場合、毎年親に遊園地のスケート連れてってもらってたからなー、自然と慣れてたっていうか」

「そうなんですか……。わたし、田舎育ちだから、雪は多かったんで、スキーならできるんですけど、スケートやったこと、一度もなくて……」

「そっか」

「はい……やってみたいんですけど」

「ん、やってみたいの?」

「そりゃ、楽しそうでしたし」

「あー、そう。じゃあ、教えたげよっか?」

「……えっ?」

「駅前でしょ?ならいつでも行けるし、面白そうだし、よかったら滑り方教えるよ」

「えっ、えっ!?」

「ほら、ぼくもなんか一人でスケートって行きづらいから。ついでついで」

「えええ、いい、んですか……?」

「うん、いいよ」

「あっ……ありがとうございます……」

「ん、どうしたの、声小さくなって」

「はい、うれしいんですけど、でも、滑れないところ見せるの、ちょっとはずかしいな、って思って……」

「あーそんなん気にしなくていい、いい。みんな絶対に滑れるわけじゃないんだし」

「それは、そうですけど」

「初めてのことに挑戦するときは、失敗することも楽しまなきゃ。楽しいよ?」

「は、はいっ……、じゃあ、今度教えてください」

「んじゃ明日行く?」

「いいんですか?」

「うん、何時頃にする?」

「あっ、じゃあ、夕方でもいいですか?夜景みながらスケートするの、楽しそうだったんで……」

「うん、わかった」

「はいっ、楽しみにしてますっ」