petit amour

まゆかのこと。

surprise (christmas episode 6)

「ここ」

「ここですか?」

「うん、雰囲気良さそうだけど混んでそうだったから、試しに予約の電話してみたんだけど、ちょうどキャンセルが出て滑り込みセーフ」

「わあ、ラッキーですね」

「でしょ。さあて、どうしてこの時期に1組分のキャンセルが出たのかしらねぇ〜」

「……そういうこと言うの、好きじゃないです」

「ごめん……。……じゃあ、入る?」

「はい」

・ 
・ 

「いらっしゃいませ」

「あの、予約をしていた……」

「……様ですね、お待ちしておりました」

「わー、素敵ー!」

「あー、これは外からみるより雰囲気いいねぇ」

「見てください、照明がランプですよ」

「ほんとだ、柔らかい灯っていいねぇ」

「そうですね……」



「わぁ、おいしい……」

「だねぇ。明日お仕事だから、お酒はほどほどにね」

「はい。だいじょうぶです、わたしほとんど飲めませんから」

「だねぇ、まだ半分も減ってないのにほっぺた赤いよ」

「あうう……はずかしい……」

「……いや恥ずかしがることじゃないと思うけど」



「お食事はおたのしみいただけましたか?」

「ええ、とっても。ね」

「はい、すごく美味しかったです」

「本当に長い間お待たせして申し訳ありませんでした、何せこの通り店が小さいもので、予約いただく方だけで精一杯でして……」

「わたし、こっちのほう初めて来たんですけど、人気店なんですね」

「はい、おかげさまで。本日はお電話いただいた半月前の時点でお席をご用意できましたが、明日・明後日はさすがにシーズンなので、1ヶ月前にすでに予約が埋まってしまいました」

「へぇー……あれ?」

「ん?、どしたの?」

「え、半月前に予約、って……?」

「あ……」

「え……さっき、たまたまキャンセルがどうとか……」

「あー、いやー……そう、ねぇ、そう……うん……」

「……あの、私、何かまずいこと申し上げましたでしょうか?」

「あっ、いえ!」

「いえっ!大丈夫です!すみません、なんでもないです!」

「そ、そうですか。では、デザートのご用意いたしますので、今しばらくおまちください」

「は、はい、お願いします」

「……」

「あ、あのー……」

「……ぷっ」

「な、なんだよー……」

半月前って……

「あー、そうねー、うん、そうですねー」

「なんで、予約入れてたんですか……?」

「そう、うん。いやー……キャンセルしても良かったんだけどねー」

「……」

「ほら、だめだとは聞いてたけど、行きたそうだったからさー、夕方までって言ってたし、夜にもっかい電話で聞いてみよっかなーってね……うん……だめなら、まあ、そんときかなー、って……」

「……」(クスッ)

「……ぐぅ……かっこわる」

「……すみません。ありがとうございます」

「……うん」

「……ちゃんとわたしの言ったこととか覚えてくれて、気を遣ってくれて、ほんとうにうれしいです」

「うん」

「びっくりしちゃいました……」

「そう……」

「なんか、びっくりして……うれしくて……どうしていいか、わからなくて……」

「あー、うん、そうねー。まあ、あとは、デザートを楽しめばいいんじゃないかなー」

「はいっ……!」



「ごちそうさまでした」

「ありがとうございました、またのお越しお待ちしております」

ガチャ……バタン

「ううぅ、さみー……」

「それじゃあ、いきましょうか……」

「あ……うん」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……あっ、あのっ!!」

「は、はいぃっ」

「きょ、きょうは、ありがとう、ございました……」

「ど、どういたしまして」

「あ、あの……帰る前に、ひとつだけ、わがまま聞いてもらっていいですか?」

「ん、なに?なにかな?」

「あの……行きたいところがあるんですけど……いいですか?」