petit amour

まゆかのこと。

親心

「まゆか、そろそろ戻る準備しないと」

「うん、大丈夫、大体は今朝やったよ」

「そう。お父さん、夕飯何作ってるの?」

「オニオングラタンだって」

「あらー、たのしみねぇ」

「どう?向こうは楽しい?」

「うん、まあ」

「そう、ならいいけど」

「どうしたの?突然」

 「いや、ほら、お父さんもお母さんも、こっちで就職するとばかり思ってたじゃない」

「それは……うん」

「だから、あんたが向こうで仕事決まったときは、すごく不安でねー」

「うん……」

「でも、向こうで充実してるならいいや、こうしてちゃんと時々帰ってきてくれるし、向こうにもお友達いるみたいだし」

「うん、ありがと」

「あとは恋人作ることかしらねー」

「ちょ、ちょっと、お母さん」

「アハハー、赤くなっちゃってこの子は。ねえ、いい人出来た?」

「ううう、うるさい!うるさいうるさい!」

「あらー、いるの?あんたは昔っからわかりやすいわねぇ、素直で、嘘がつけなくて」

「うう、もう……」

「そういう生真面目なところは、多分お父さん似なのよね。お母さんってほら、雑じゃない?」

「そうかな、わたしからしたら、しっかりもののいいお母さんだよ」

「そう?ありがと。次戻ってくるときは彼氏と一緒かしらねー」

「!!も、もう!なんで話題戻すの!」

「あれー、お母さんは話題変えたつもりありませんけどー?」

「うう……」

「あはは、でもほんとに、彼氏一度は連れてきてねー」

「だーかーら、まだそんな人いません!」

「まだ?まだって?」

「あ、え……」

「あーやっぱいるんじゃなーい、気になる人」

「うう……」

「ねねね、どんな人?ねえ」

「……内緒」

「どこで知り合ったの?学校?」

「違います」

「合コン?」

「いったことないもん……」

「会社の先輩?」

「っ……」

「あらー……あー、そうなのー、じゃあ向こうでしばらく頑張るしかないわねー」

「うう……もうやだ……」

「アハハ、そういうところが不安だけど、あんたのいいところでもあるのよね。うまくいくといいわね」

「むぅ……」

 

「おーい、ごはん出来たよー」

「あ、はーい」

「二人とも、何話してたの?」

「ねねね、聞いて聞いて、まゆかったら……」

「わーー!だめーー!わーーーーー!」

「ん?何?」

「なんでもない!」

「アハハ」

「うん?」

「まあいいや、この子の帰る時間もあるし、はやくごはん食べましょ」

「もう……っ」