petit amour

まゆかのこと。

やさしい新年会

from: みずきちゃん

おつかれさまー。もう家ついたー?   
りんごたくさんもらったから、焼き林檎にでもしようとおもうんだけど、遊びに来ない?ゆかりは来るってさー。



「あけましておめでとうー」

「あっ、いらっしゃいー。あけましておめでとうございますー」

「あ、あけましておめでとう。早かったわね」

「うん、洗濯ものとかは帰ってすぐに全部済ませちゃったから……」

「まゆかちゃんは相変わらずまじめでしっかりものだねぇ、うんうん」

「そ、そんなことないよー」

「そうそう、みずきがズボラなだけでしょ」

「あんですってぇ?」

「ま、まあまあ……」

「……あれ、ひとり?」

「……え?」

「ううん、こっちの話ー」

「……」

「みずき……あんたほんと野暮ねぇ……」

「ま、いいや。それじゃさっそくはじめますかー」

「うんっ」



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「わあ、綺麗なりんご」

「でしょう、いっぱいもらったんだけど、お店で全部出すのももったいないな、って思って」

「おいしそうね」

「1個だけそのまま食べたけどおいしかったよ、焼いてもおいしかろうねぇ、うんうん」

「それじゃ、下ごしらえしましょ。スライスするの?」

「いやー、今回はせっかくなので、丸焼きにしましょーっ」

「つくったことあるの?みずきちゃん」

「ないよ」

「えっ」
「えっ」

「焼き林檎ってメニューでは出さないじゃん?こういうときこそ新しいことに挑戦するのです」

「……新年早々から失敗しないといいけど」

「……だね」

「大丈夫だって、もっとややこしいアップルパイなら作り慣れてるし。ほらー、口じゃなくて手を動かすー、まず林檎の芯をくりぬいてー」

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「準備かんりょー」

「4つも食べられるかなぁ……」

「ま、残ったら残った時でしょ」

「もったいないわねぇ……」



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「できあがりー」

「わぁ、色が変わってるー」

「林檎の色素って熱でなくなるのね」

「おこのみでヨーグルトかアイスクリーム添えてねー」

「うん、ありがとうー」

「それじゃ……」

「いただきまーす」
「いただきまーす」
「いただきまーす」

……。

「んっ!」

「あ」

「あら」

「おいしいね」

「そうね、うまくいったわね」

「これは成功だねー」

「うん、みずきちゃん、お店で出せるよこれ」

「うんー、さすがに時間かかりすぎてちょっと難しいかな、はは」

「あ、そっか……」

「でも予約でコース入ったときとかはイケるかも。ちょっと研究してみよう。二人のおかげだよ、助かったよ君たちぃ」

「……わたしたちが毒見役みたいじゃない」

「まあまあ、おいしいからオーケーってことで……」

「そうだよー、ゆかりー。こんなにいい林檎、ここいらじゃお高いんだぞぉ」

「まあ、そこは感謝しておくわ」

「生意気ー」

「うふふ……ことしも楽しくなりそうだなぁ」 



「やー、おいしかったー」

「うん、1個でおなかいっぱいだね……ばんごはん食べられるかなぁ」

「わたしはもう無理……今夜はご飯いらない……」

「ったく、ゆかりはほんと少食だねぇ」

「うっさいわね……」

「でも、あまった焼き林檎どうしよう……」

「ん、持って帰ったら?」

「いいの?」

「いいよー、明日会社に持ってったら?」

「え、会社に?」

「食べさせたげたらいいんじゃなーい?ふふーん」

「っ……」

「みずき、やめなさい、はしたない……」

「えーっ、でもこんなにおいしいものは、誰かに食べさせたげたくならない?」

「……うん」

「まゆかちゃんもわかりやすいリアクション……」

「へへー、大丈夫、これ冷えてもおいしいはずだから、明日持ってけばいいよー。スライスして包むから持ってってー」

「うん、ありがとう」

「ゆかりは……生のやつ持ってって、焼いたやつ渡すと痛ませそうだから」

「そうね、お言葉に甘えとく」

「やー、お酒のない新年会も楽しいもんだねー」

「えっ、これ新年会だったの……?」

「みずき、なんか手軽に済ませようとしてない……?」

「何言ってんの、お酒で済ませるより全然こっちのほうが手間かかってるでしょー」

「まぁ……そう、ね」

「うん、そういえばそうだね」

「こんな感じでさ、ことしも楽しくやっていけたらいいね」

「そうね、楽しく過ごせたらいいわね」

「うんっ」

「時々メンバーが増えたり、ねぇ〜」

チラッ

「!」ビクッ

「みずき……」

「いやー、まゆかちゃんの前途が明るいものだといいなあ」

「み、みずきちゃん……」

「まあ、それはそうね」

「ゆかりちゃんまで……」

「というわけで、ことしもよろしくー!」

「よろしくね」

「よ、よろしくっ……!」