「さて、めし……」
「……またカップ麺ですか?」
「勘弁してくださいよーお母さんー」
「もうっ、変な言い方やめてください」
「へーい、すいませーん。お正月からおべんと作って偉いねぇ……」
「お正月ったって、もう平常運転じゃないですか」
「だねぇ。カップ麺食ってるやつの言うことじゃねえな」
「ほんとですよ……」
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「ごちそうさん、と」
「それだけで足りるんですか?」
「まあ、腹減ったらコンビニがありますし」
「不健康だなぁ……あっ」
「ん?」
「そうだ、昨日、お友達の家に遊びに行ったんですけど……ほら、クリスマスのときの、みずきちゃん」
「ああ、あのカフェの」
「はい。彼女の家で、みんなで焼き林檎パーティしたんです」
「またなんか洒落たことを……」
「その時作った焼き林檎持ってきたんですけど」
「食べます」
「……聞いてもいないのに即答ですね」
「林檎好物なのよー、ありがとうー」
「まだあげるって言ってません」
「え、くれないの」
「……あげます」
「さーんきゅっ」
「もう……はい、これ」
「おー、いい感じにきつね色。いただきまーす」
……。
「……どうですか?」
「……」
「……だめ、ですか?」
「紅茶欲しい」
「え?」
「コーヒー好きだけどこれは紅茶に合いそうだねー」
「紅茶は……ちょっとないですけど……」
「わかってるって。うん、こりゃうまいわ」
「ほっ、ほんとですか?」
「まあぼく悪食なんで、世間一般はどうかわかりませんけど」
「またそんな意地悪言うんだから……」
「とりあえずぼくは大好きですねこれ」
「(……やった)」
「うん、うまい。ありがとう」
「林檎、そんなに好きなんですか?」
「うん。昔は林檎出てくると飛び上がって喜んでました」
「じゃあ、今度みんなでアップルパイ作って持ってきます!」
「き、急にどうしたの声張り上げて……」
「あ……すみません……」
「ま、まあ、それも楽しみにしてる、アップルパイも好物だし。ありがとう」
「は、はいっ」