「そういえば」
「うん?」
「ねこ」
「ああ」
「えーと、あんずさんでしたっけ」
「うん」
「大好きなんですね」
「はい」
「でもうちのジロさんも……」
「あんずのほうがかわいいです」
「……」
「……何さ」
「いや、淡々とあんずさんへの愛をかたるんだなと思って」
「ねこバカですから」
「飼ってるねこは一匹だけなんですか?」
「飼ってるつっても実家だけどね。昔はもう一匹いたけど、もうずいぶん前にお空の上へ行っちゃったので、今は一匹のみだねぇ。あんずももういい年でおばあちゃんだけど」
「そうなんですか」
「実家だから頻繁には行けないけどね、あんずもそんなに長くないから、機会あるかぎり世話して愛でてやりたいなぁ、なんてね」
「はあ、やさしいなあ。わたしもタロさんとジロさんがそばにいればいいのにな……」
「まあ、遠いとねぇ……」
「はぁ……」
「こっちでなんか飼わないの?」
「うち、ペット禁止なんです……それに今はそんな余裕も……」
「そう……」
「……」
「……気晴らしに今度遊びに行こうか」
「はい……」
「……」
「はぁ……」
「……よしよし」
「……わたしをペットみたいに言わないでください」
「すいません」
「……ふふっ」
— sumimaro (@sumi_maro) 2015, 1月 6