petit amour

まゆかのこと。

予行演習 (Valentine's Day Episode 3)

「はいー、それじゃ、バレンタイン前に自分たちでおかし作りの練習をしましょうっ!」

「元気ねぇ……」

「ったり前じゃない、こういうのは気持ちが大切なの。気合い入れてよねー」

「気合と気持ちは別でしょ。まあ、よろしくおねがいします」

「よ、よろしく……」

「はーい……まゆかちゃん、元気ないね」

「え、そうかなぁ……」

「なんかあった?」

「え……と」

「私たちでよかったら相談乗るよー?」

「え、う、うん……」

「みずきってほんと遠慮ないわね……」

「なによー、友達が落ち込んでたら助けるのが友達でしょー」

「まあ、それはそうね。……まゆかちゃん、無理に話さなくていいけど、話して楽になりそうだったら、私たちならいくらでも聞くからね」

「うん……ありがとう」

「……と、それじゃー話は作りながら聞くとして、さっそく準備はじめまっしょー!」

「みずき……」

「……ふふ。ありがとう」

「うんっ」



「へぇ、昨日そんなことあったんだ」

「うん……なんか、私、迷惑かけてばっかだなぁ、って……」

「でも、それって……。ねえ、ゆかり、どう思う?」

「あ、みずきもそう思った?」

「まあ、そりゃー、ねぇ、うふふ」

「あはは、だよねー」

「え、なに?」

「んー、いいのいいの」

「そうそう、まゆかちゃんはちゃんと上手にケーキ作る努力すればいいだけよ」

「え、なんなの……?」

チーンッ

「あっ、焼けたー!」

「みましょ、みましょ」

「ね、ねえ、なんなのー?」

「いいから、はやくはやくー!」



「わぁ……」

「焼けたわね……」

「二人とも、よくできましたっ」

「これ、もう食べられるの?」

「まあ、食べられるけれど、ちょっと仕上げに冷まします」



「はい、それじゃ」

「いただきまーーーすっ」 「いただきます」 「いただきますっ」

パクッ……。

「ん……おいしい!」

「ほんと。これはしっとりしてておいしい」

「うん、上出来。あとは二人とも本番に頑張るだけだねっ」

「本番、ねぇ……」

パクッ……。

「ゆかりは誰か渡す人いるの?」

「んぐっ」

「あらあら、落ち着いて食べなさいよ」

「ちょっ……あんたがいきなり変なこと言うから」

「変なことは言ってませんけどぉー」

「ま、まあ、そりゃあ、ねえ……」

「えっ」

「ほんと?」

「な、なによ……」

「ねねね、どんな人?どんな人?」

「内緒」

「私も気になる……」

「ちょっと、まゆかちゃんまでやめてよ……」

「いいじゃない、私たちの仲でしょー」

「……内緒」

「えぇーっ」

「……ちゃんと渡せたら話すわよ」

「先に言ってくれたら色々アドバイスできるのにー」

「子供じゃないんだから……」

「大人にだってアドバイスは必要ですよーっ」

「まあ、そうだけど……私にも思うところあるから、ちゃんとその日を迎えてから、ね」

「んー、うん、わかった。へへ、ゆかりも水くさいなぁ」

「がんばってね、ゆかりちゃん」

「……うん、ありがと。まゆかちゃんもね」

「う、うん」

「まあー、まゆかちゃんは大丈夫だよ」

「ど、どうして?」

「だって、ねぇ」

「ねぇ、って言われても、私会ったことないからなー」

「ああ、そか。大丈夫だよ、まゆかちゃんが作ったものなら、カレールゥでも食べてくれるって!」

「みずきちゃん、それはちょっと……」

「ままま、レシピもあとで書くから、ちゃんと当日渡せるようにねーっ」

「う、うん、ありがとう……」